ノマドワーカーという生き方

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名刺を渡すと見慣れぬ言葉を使った屋号にケゲンな顔をされます。
聞いたことありませんか?「ノマド」って言葉。

「ノマド」って何?

語源は「Nomadノマド」”遊牧民” や ”放浪者”を意味するフランス語なのですが、本来の「定住地を持たず移動しながら暮らす人」という意味から、今では「時間と場所にとらわれずに働く人、働き方」というふうに使い方が変わったようです。


この現象はフランスの経済学者ジャック・アタリという人が「21世紀の歴史」(2006年)という本の中で、ノマドという言葉を使って「インターネットの発達によってクリエイターが時間と場所にとらわれず活躍する時代がくる」と予言したことに始まったようです。日本でも2010年ぐらいから、パソコン1台持ってカフェで仕事をしたり、旅行中の飛行機や電車の中で仕事をしたりする文筆家やデザイナーなどがノマドと呼ばれるようになりました。当時の私も「ノマドワーカー」なるものに憧れました。

じゃ、俺もそういうふうになれないだろうか?って考えるわけです。

コロナ禍で働き方を再認識する

そこで、工務店って一体どうなってんの?ということなんですが新築にしてもリフォームにしても、現場の作業が一段落し工事代金の授受が済むと基本的には次なる現場へと移動していきます。これってすでに「ノマド」遊牧民みたいなもんじゃないか。
でもなぁ、毎朝、現場から場合によっては逆方向の事務所へ出社し、そこでタイムカードを打ち、自分の本日の予定を社内に知らしめ、現場へ出かけ、現場での仕事を終えればまた事務所に戻り、自分が今日やった仕事の内容を報告し、タイムカードを打って自宅へ帰ってゆく。これってどうにかならないの?というのが僕のサラリーマン時代に考えていたこと。

ネットワークや電子ツールを使えば、これらの無駄を省いて、製造コストを引き下げてそのメリットをお客さんに還元することも可能なのに。
ネット環境さえ整ったサテライトがあれば、必ずしもリアルな場所にすべての所員が顔をつき合わす必要もないってことは建設業に限らず計らずもコロナ禍で証明されちゃったんですけども。

今までの工務店の社内はタテつながり社会

そもそも工務店とか建設業者、ゼネコンもそうですが社内での社員の横のつながりは極めて希薄なのです。(あぁ、ついに言ってしまった…)
どういうことかと言うと同じ現場のプロジェクトで関わり合いがない場合は、他の人が何をやっているのかということは基本的に無関心でありますし、横の繋がりが利益を生むということはありません。ただ、将来の受注見込みとお金の出入りを会社全体として把握したいということでこのような縛りが生まれます。縦の繋がりですね。工務店の中での仕事は極めて個人的な作業で成り立っています。企画、施主へのプレゼンテーションに始まり、外部の設計部隊や行政とのやり取り、施主との折衝から契約、下請け業者への発注、現場施工管理、代金の回収。これらの業務は現場担当者へ基本的に任されます。で、その現場担当者がある意味独立した立場で軸となって事業を回すのです。会社の規模ややり方にもよりますが、場合によっては設計、営業、現場監督と3人でチームを組むこともあります。これがまたトラブルの原因になることも多いんですがその話はまた別の機会がありましたら。

過剰と無駄を省いて顧客へのサービスを最大化する

私はそんな事を考えながら日常の仕事をこなしていましたが、結局のところ思いを実現するには自分で起業してやってみるしかないんです。
計らずもコロナ禍の前年2019年暮れに務めていた工務店を退社。在宅事務ワークと現場作業ワークの間を放浪するスタイルで、デジタルのちからを最大限利用して最小時間と最小コストで工務店を運営していこうと起業しました。過剰な経営経費と無駄な作業を省いて最大のメリットを施主へサービスしていこう、それが「工房のまど」です。

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