お客さんの声2/2 新築から10余年住んで住まい手が思うこと

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自分たちのために建てる贅沢な“終の棲家” 明るい光と南風が心地いい平屋住宅

退職するまでは東京・横浜・静岡・三重を忙しく行き来する生活…
今まで頑張ってきたご褒美に、自分たちが過ごしやすい空間を

(座談会 2017年12月 聞き手:太田慎吾(当時コバヤシ建築に在職) )
新築から10年が経過した家族3人が棲む平屋の住まい。建築の計画から住んでみて感じたこと、10年経ったその時、何をどう感じているのか住まい手に聞いてみた。

どこかへ建築の概略を書く 画像差し込む 間取り配置図差し込む)

司会

中村さんご夫婦はおふたりとも(静岡県西部にある掛川市)旧大須賀町のお生まれでご結婚されてからは関東のマンションにずっとお住まいになっていたと伺いました。

 

太田

「実は中村さんと僕は親戚筋に当たるのでプライベートでもお付き合いが深いのですが、今日はインタビューということで話が少しばかり説明的になりますが、皆さんご承知おきください。中村さんは生まれ故郷へ新しい住宅が完成して住まい始めてからも、まだ現役でお仕事をされていて、遠い職場へ新幹線でかなり長い期間を通ってましたね。ここから横浜とたしか三重とあっちこっちへ移動していました。当時大変だったでしょう?」

中村さん(以下、ご主人)

「新しい住まいが完成しても土日は掛川にいて、月曜日の朝一番で職場とマンションのある東京と横浜へ。水曜日に掛川へ帰ってきて、木曜日の朝一番で今度は三重の工場に行って…金曜日にまたここへ帰ってくるという生活をしてましたね。」

中村さん奥様(以下、奥さん)

「そういう生活を…え~っと…確か7年ぐらい続けたんじゃない?。ここから新幹線が停まるJR掛川駅まで20分くらいかかるけど、わたしも駅まで送り迎えを結構したな。」

太田

「退職されて、ようやく生まれ故郷の田舎でのんびりできるようになった、という感じでしたか?」

ご主人

「そうだね。自由な時間が増えたから今かみさんは小学校の図書室で本の整理とかのボランティアをしてたり、あと僕はテニスを週2回、市営の体育館でやってる。それ以外は家でのんびりかな(笑)やっぱり生まれ育った場所が一番落ち着きますね。このあいだも、横浜に住んでいる娘のところに行ったけど、どうも落ち着かなくて…元は自分が住んでいた家なんだけどね(笑)今はこの家が一番。」

明るく、広々とした居心地のいいリビングは、自然と皆が集まる場所に…

太田

「建物の南側が広々してますので大きな窓から自然光がたくさん差し込んで、冬でも暖かいですね。猫が陽だまりでまどろんでますが、日中は暖房がいらないぐらいじゃないですか?」

ご主人

「そうですね、太陽の光がほどよく差し込んできて本当に気持ちがいい。夏場の日差しをもう少し遮ぎるように軒を少し深目にしても良かったかもしれない。でも、この土地は風がよく通るので、北側の風呂場の窓と出入り口を開けておけば台所にも風が”すっ”と通ります。田舎なんで夏は家中の窓を開けておけるし、全体に風が行き渡るからとても過ごしやすいんですよ。」

奥さん

「家の間取りを考えるに当たって自分たちが一番いるところ、一番長い時間過ごすところを良くするのがいいですよってアドバイスをいただきました。客間をいい場所にしても、お客さんはめったいに来ないんだからって。(笑)」

太田

「そうですね~、そこは間取りプランナーとしては譲りませんでしたね(笑)。部屋の連続性と関係性は大事なんですよ。」

ご主人

「このリビング、お正月には大勢が集まりますよ。お正月以外にも、娘の婿さんがサーフィンが趣味なので、会社の友だちを連れて来て、みんなで雑魚寝(ざこね)していたこともありました(笑)居心地がいいみたいです。」

太田

「今、猫ちゃんが掃き出し窓から外へ出ていきましたが、庭が広くていいですね。」

ご主人

「そうなんですよ、孫たちが遊びに来ると庭でバーベキューもしたりしてね。楽しみのひとつです。芝生の管理がちょっと面倒ですけど…(笑)年に4~5回は芝刈り機で手入れをするかな。植木は10年経ってようやく形になってきました。槇の生け垣は最初小さくてスカスカで向こうの景色が見えてたけど、やっと目隠しになるくらいまで成長しました。」
太田
槇の木は成長がゆっくりですからね。」

ちょっと珍しい?北側の玄関。なぜ北側に玄関を設置した…?

太田

「先程から話題にも出てますように、僕は北側玄関の間取りを敢えておすすめしました。中村さんのお宅は敷地の南側と北側が両方が道路なんでどちらでも可能なんですが、公共性の高い玄関は北側へ配置して、南側は居室プライベートゾーンと庭で連続させたほうがいいと考えてました。伝統的な農家づくりの間取りが多い地域では抵抗があると思うんですけど、中村さんは僕の叔母に当たるし、都会での生活が長いから僕からの提案に共感してもらえると思ったんです。北側道路と敷地の高低差も玄関先へのアプローチのアクセントになると思いました。」

ご主人

「新築当初、近所のみんなには珍しいと言われましたね。玄関の位置が分からない人も結構いてね。その都度、大きな声で呼ばれたりして(笑)」

(一同笑い)

太田

「伝統的な造りではないですからね…(申し訳無さそうに)」

奥さん

「今思えば、玄関を北側に持ってきたのは正解でした。南側は車の通りが激しいので、直接通りに出るのは大変。北側に玄関と駐車場を作ってもらって、本当に良かったです。」

太田

「駐車場スペースも広くとれて安心しました。」

ご主人

「そうだね、4台置けると、たいていの場合こと足りますね。」

部屋や家族間のつながりを大切にする、こだわりの間取り

“ちょっとした工夫”で、よくあるお悩みも一発解決

太田

「間取り上の向きといえば、玄関の向きよりもキッチンの位置のほうが珍しいかもしれません。」

司会 といいますと?

奥さん

「台所と食堂、居間のつながりを密にしたいとお願いしていたんですが、結果的にこの配置にしていただきました。ゆったり感がいいですね。なるべく娘達といっしょに台所に入ろうと思っています。まあ、そうは言っても、なかなかそういうわけに行きませんけど(笑)」

太田

「いやぁ、実はご希望伺ってから暫くの間いろいろ悩みましたね。こういう配置でキッチンつくるパターンはなかなかないんですが、うちの設計の杉山がそんな僕を見かねてアイデアをぽんと投げてくれたんですが、まさに目からうろこでした。台所から食堂、リビングへ、部屋の対角線方向に目線がす~っと届く感じ、そしてお料理しながら南側の庭が見渡せるこのプランは手前味噌ながらすごいと思いました。あと、先ほどのリビングの話と重なりますが、せっかく南側がひらけているので、明るく、風が通り抜ける場所にしたいといろいろ考えたんです。」

奥さん

「人の動きの流れがスムーズなのがすごくいいんですよね。キッチンから南側の庭への勝手口を作ったのも良かったです。土のついた野菜をいただくことが多いので、外できれいにして、勝手口から上がれば、土を持ち込まなくて済みます。」

ご主人

「こういう土地柄だから、ご近所の方から大根とか里芋とかいただくことが多いんですよ。外にストックするところがあるのも凄くいい。」

奥さん

「あと、炊飯器を置く背面カウンタースペースを作っていただいたんですが、上の収納棚よりカウンターの奥行きを余分に深くしてもらったんです。同じ出幅だとごはんを炊くとき、蒸気が上がって棚の下に当たって出来た水滴が炊飯器の上へ落ちてしまうと思って。」

太田

「その辺の要望を形にするのは得意なんです。ちょっとした工夫ですね。」

奥さん

「そう、細かな希望にも対応していただきました。」

座談会後記
「副区長や区長など地区のお役も終わり解放された。これからは少しアルバイトでもしようかな(笑)」と無邪気に笑う御主人。非常に和気あいあいとした雰囲気で座談会は終わりました。

 

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